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たまにはちゃんと業務に関係することも書いてみよう、などと柄にもなく思わされてしまったのが、最近色々と報道されている大塚家具のお家騒動である。いわゆる委任状勧誘(プロキシー・ファイト)事案にそれなりに関与してきた者としては、本件において報道されていない裏側で起こっていることを想像するだけでも興味は尽きない。このような事案では双方が入念なメディア対応を行っていることもあるので、もしかするとこの程度の趣味のエントリーでも、監視の目が入っているかもしれない(笑)。もちろん、私がこの案件やそれに関わっている専門家らと一切の関係がないことは、念のために付言しておく。

事案の詳細については当事者から公表されている内容や報道されているとおりであるのでここでは立ち入らないが、一般に議決権行使比率が70パーセント程度と言われていることからすれば、本件が世間の注目を浴びていることによりここから多少上がることがあったとしても、どちらがトータルで30パーセント後半台の株主からの支持を集めることができるかで勝負が決まるということになる。そして公表されている情報や報道の内容からすれば、会長サイドと、社長が管理する資産管理会社及び社長を支持しているらしいファンドの議決権の合計は、それぞれほとんど同じくらいのようなので、勝敗を決するのはその他の機関投資家の動向ということになる。現在、双方が各投資家を回って必死に説得にあたっているところであろう。

あくまで一般的に言えば、我が国において会社提案を覆す形での委任状勧誘が成功する可能性はそれほど高くないし、世代的に近いこともあり、報道されている内容だけに基づけば、私としては社長の言い分に肩入れしたくなるところもあるのだが、もちろんどのような結果になるのかは蓋を開けてみなければ分からない。社長が管理する資産管理会社の議決権行使の適法性について争いがあるとの報道もされているので、もしかすると株主総会での結果が出た後も、総会決議の瑕疵を争う展開が続いていくのかもしれない。いずれにしても、今後の展開から目が離せないところである。

ただその一方で、本日の一部報道によれば、大塚家具と同業のニトリの営業利益が28期連続で過去最高を更新したとのことである。今回の一連の騒動で大塚家具のブランドイメージが少なからず毀損した面があることは否定できず、委任状勧誘の結果がどちらに転ぼうとも、大塚家具には厳しい前途が待っていると言わざるを得ないと思われる。

なお、同じように経営者間の争いが報じられている雪国まいたけについても色々と面白い問題点はありそうなので、こちらについてもまた機会があれば何か書いてみたい。余談となるが、個人的には今後はもう家具は買う気にはなれないが、まいたけなら気にせず食べてしまいそうなのは、食べ物に罪はないからなのか・・・