コラム

Share Button

お盆で少し気持ちに余裕ができたので、久々に何か書いてみようと思い立ったが、今日書くとしたら、やはりこのテーマしかない。松山英樹選手が惜敗した4大メジャーの一つでもある全米プロゴルフ選手権について、である。

今年の舞台となったQuail Hollowは、私が留学していたロースクールから車で2時間ほどのところにあり、Wachovia Championship(現Wells Fargo Championship)という米ツアーの試合を観戦しに行ったことがある(念のためですが、春休み期間中です。)ゴルフコースでもあったので、今回のメジャーは当時のことを懐かしみながら特に思い入れを強くして観戦していた。

とにかく雄大で美しく、それでいながら距離が長くフェアウェイがうねっていてハザードが厳しいタフなコースという記憶である。私が観に行ったのは田中秀道選手が米ツアーに挑戦していた時期で、その試合でも地元の英雄であるDavis Love Ⅲら大柄な選手の中で孤軍奮闘していた。お世辞にも体が大きいとは言えない田中選手はやはり飛距離で劣り、常にセカンドオナーを打たされていた。そんな中、500ヤード近い最終9番ホール(インスタート)パー4で残り200ヤード以上のセカンドショット(もちろん同組の中で最初に、しかも他の選手がミドルアイアン以下のところを、ロングアイアンかユーティリティを打たされている)を見事に2メートル近くに乗せてその日初めてのバーディを取った田中選手に「ナイスバーディ!」と声援を送ったら、キャディがスタスタと近寄ってきて、「Thank you for walking with us today.」とサイン入りボールを手渡してくれたことは、今でも忘れることができない思い出である。が、それは同時に、体格で劣る日本人選手がこのフィールドで欧米人と互角に戦っていくには毎回目一杯のスーパーショットを要求されること、そしてそのことがどれだけ肉体的にも精神的にも負担となるであろうことなのかを、思い知らされた瞬間でもあった。

これまでも多くの日本人選手がゴルフの4大メジャーに挑戦しては、試合開始前は「●●選手、念願の日本人初メジャー制覇へ向けて万全の調整!『自分の力がどこまで通用するか試してきたい』」、予選ラウンド後は「●●選手、上位進出目指す!『何とか予選を通過できたので、あとは少しでも上を目指して攻めるだけ』」、最終日後は「●●選手、大健闘のファイナルラウンド!『多くの課題が見つかった。日本に帰ってまた頑張りたい』」などというテンプレートのようなメディア報道を毎回繰り返し見せられてきた。しかし、松山選手に関しては、そして本当に今回に関しては、これまでの繰り返しが当てはまらないのではないか、と多くの日本人が期待したに違いない。欧米人に見劣りしない鍛え抜かれた体軀から繰り出される正確無比なショットは、明らかにこれまでの日本人選手とは別格の世界水準のものであり、パッティングと少しだけの幸運があれば、日本人初のメジャー制覇も本当に夢ではないところまで来ていたように思われた。

しかし、その夢は今回も無残に打ち砕かれてしまった。木に当てながらボールが戻ってきたり、待っていたら止まっていたカップ縁のボールがコロリとカップインしたりと、優勝したJustin Thomasに運があったという意見もあるようだが、松山選手自身が11番と16番のパッティングで自らに幸運をたぐり寄せられず、そしてそのことがJustin Thomasに17番のスーパーショットを打つ余裕を与えてしまったのが敗因だと考えるのが妥当だろう。その意味では、単なる運ではなく技術不足の部分があったとも言えそうである。幸運の女神は技術のある選手にしか振り向かない。

私は松山選手ではないが、今回の結果は自分のことのように本当に悔しい。でも考え直してみれば、これまでの日本人選手であれば5位という結果なら大喜びでその活躍を賞賛したはずであった。それが、5位ではガックリ、いや優勝以外はどれでも同じ、と皆に思わせるレベルまで来ているのである。しかも敗因は、運だとか流れだといった抽象的なものではない大事なところでのパッティングだと明確に分かっているのだから、まだまだ希望はある。このフィールドの中でこのコースと闘うことがどれだけ大変なことなのかを素人なりに垣間見た私にとっては、それだけでも驚愕の事実である。Justin Thomasだって、常に比較の対象となる幼なじみのJordan Spiethが先にメジャーを3勝するなど、これまで辛酸を舐めてきたであろう。少なくとも体格や飛距離で劣ることなく、世界と対等に戦える数少ない日本人である松山選手が、今回の敗戦を糧に欠けているピースを見つけ、勝負どころのパッティングを決めまくりメジャーを制覇する時はそう遠くないはずだ。その期待を一身に受ける松山選手には過度のプレッシャーを掛けて本当に申し訳ないが、とにかく今の自分には、そう言い聞かせないと明日以降仕事に向かう気力が到底湧かないのである。

Share Button

せめてひと月に1回は更新しようと思っていたのに、あっという間に2か月が経ってしまいました。自分がその立場になってみて初めて、定期的かつ頻繁にウェブメディアなどに良質な記事を公開されている方々の凄さが身に染みて分かります。

それはさておき、前回と同様で恐縮ですが、今回もつかみはゴルフからです。仕事の関係上、男子女子を問わず、最近はプロの方とラウンドをご一緒させていただく機会が増えました。私は上手な方とご一緒させていただくのは大好きなので、そのような機会をいただいた時は毎回非常に楽しみにしているのですが、数少ないながらもこれまでの経験から、プロと言っても様々なタイプの方がいらっしゃることがだんだんと分かってきました。ゴルフとは関係のないこちらの仕事やプライベートの話などもうまく引き出しながらその場をとても盛り上げてくれる合コン幹事タイプ、初心者につきっきりでスイング指導を始める教え魔タイプ、一言も話さずにただ淡々とゴルフをするだけのツンデレタイプ・・・などなど。どれが良いとか悪いとかではなく、結局は一緒に回る人がどういうタイプだと心地良く感じるのかということに尽きるのですが、私個人は、ラウンド中にスイングの細かいところをいじられて対応できずにその日がメチャクチャになってしまって嫌な思いをした過去があるので、スイングについてはせいぜいワンポイント的なものにとどめ、むしろそれよりも斜面や深いラフから打つ時の注意点など、なかなか日々の練習だけでは身に付きにくい実践的なアドバイスをいただけると大変嬉しく思いますし、こちらからも折りをみてそのようなポイントについて話を伺うように意識したりしています。そして、そういった相性が合う方は非常に強く印象に残りますし、また機会があればぜひご一緒させていただきたいと思います。

弁護士と言っても最近はその業務内容は多様化していますが、本質的には、様々な場面での法的助言を提供するという、いわゆるサービス業の部類に属するものと私は考えています。ですので、上記のプロゴルファーの例の場合と同様に、クライアントが何を求めているのか、提供されたサービスはクライアントのリクエストに沿ったものか、ということで我々の仕事への評価が決まるということになります。とは言え、クライアントのタイプは様々ですし、同じ法的問題について全てのクライアントのリクエストが同じものであるとも限りません。クライアントと綿密にコミュニケーションを取りながら、相手の求めているものを汲み取るスキルが常に求められます。だいぶ前のことになりますが、企業の新人法務担当者からのご依頼で金融関連法規に関する比較的複雑な質問を受けました。しかし、徹底的に調べてもどうしても不明確なところが解消できず(だからこそわざわざ弁護士に問い合わせるわけなのですが)、相手が「新人」ということもあって、ついその不明確なところをわざと曖昧にしたまま回答してしまったことがありました。しかし、その「新人」から、すぐにその曖昧さを突く再質問をいただいてしまいました。後になって、その「新人」が一流大学卒業の法曹有資格者だったということが判明するのですが、「質問に対するあなたの回答の本質的な部分について、質問で返されたらあなたの仕事は不完全だったということです。」という尊敬する先輩の言葉を座右の銘にして仕事をしていた当時の私は、自分の未熟さを深く反省したものです。その後の綿密なフォローアップで、それ以降もその担当者からのご依頼を継続的にいただけた、というのが唯一の救いではあったのですが。

折しも2020年のオリンピック開催に向けて、「おもてなし」や「ホスピタリティ」といったキーワードをよく耳にします。これも言葉にするだけなら簡単なのですが、単に日本流のきめ細かいサービスを提供すればよいというだけではなく、これから日本に来られる方がどのような「おもてなし」を求めているのかという視点からの分析が必須でしょう。

そして私に関しては、仕事でもゴルフでも、ぜひもう一度ご一緒したいと思っていただける人間になることを目標にしたいものです。

Share Button

皆様、こんにちは。

事務所の開設にあたりこのように自分のウェブサイトも立ち上げることとなりましたので、せっかくの機会を生かし、僭越ながらコラム欄を設けさせていただきました。筆不精の私にとってこのような試みは無謀以外の何物でもないのですが、特にテーマを法律のことに限定せず、その時々に思いついたことを軽い気持ちで綴っていければと思いますので、お付き合い下さい。

さてサッカーのワールドカップがいよいよ始まり、寝不足の日々が続いている方も多いのではないのでしょうか。私はサッカーにはあまり詳しくないのですが、さすがに先週末の初戦の結果は残念でした。そして個人的にさらにもっと残念だったのが、同時に行なわれていたゴルフの全米オープンです。

がっかりしたのは、期待の松山選手が上位争いをできなかったからではありません。日本予選を通過した日本人プロ3名のうち、2名が予選を最下位とその一つ上の順位で敗退、そして予選を通過した1名も決勝進出者の中でダントツの最下位という結果に、です。さすがにこれには、残念を通り越して同じ日本人として恥ずかしさすら感じてしまいました。

日本予選を通過しても本戦で活躍する選手(どころか予選を通過する選手すら)がほとんどいないことは、全米オープンに限らずその他のメジャー大会に関しても、すでにだいぶ以前から言われていたことです。予選開催コースのレイアウトが悪いのか、距離が短いのか、グリーンが簡単すぎるのか、元々のプレイヤーのレベルが低いのか、はたまたそれら全てか。いずれにしても今回の日本予選が、本戦の開催コースであるパインハーストNo.2において求められている、ティショットの飛距離・セカンドショットでのロングアイアンの精度・荒地からのリカバリー力・亀甲羅グリーンへのアプローチといった要素への対応力を試すための予選としては適切ではなかったことは明らかなように思われます。語弊を恐れずに言えば、論述式の試験の受験資格をマークシートの試験で決めたような感じでしょうか。

結局のところこの問題は、どのような目的で予選という制度が存在し、そのためにはどのような制度がベストなのかという視点が欠落しているところに原因があるように思われます。そして、これと似たような問題が私の業界にも存在しているというのは、ややこじつけが過ぎるでしょうか。先日の一部報道によると、いくつかの有力法科大学院が予備試験に受験制限を設けるように提言したとのことです。私もかつて法科大学院の教壇に立っていましたので、あまり軽はずみなことを言うつもりはありませんが、法科大学院や予備試験そして究極的には司法試験や司法修習という制度が、誰のためにどのような目的で存在しているのか、という視点を持って議論されるべきであるという認識が欠落していることに、混乱の原因の一つがあるように思います。

もちろん制度というものは、それに利害関係を有する人々も絡めて長い年月をかけて構築されてきたものであり、一朝一夕に変えることは難しいでしょうし、いきなり劇的に変えるべきでないことも多いでしょう。しかしながら、ただのゴルフ好きの一法律家としては、両制度が達成しようとする目的に向けてよりふさわしいものへと改善されていくことを、切に願ってやみません。

テーマ

  • カテゴリーなし

アーカイブ

コラム内検索